酒は百薬の長⁈飲みすぎが体に与える影響
種類別、アルコールの適量
厚生労働省、高血圧治療ガイドライン、動脈硬化疾患予防ガイドライン、糖尿病診療ガイドラインなどあちこちのガイドラインでアルコールの適量を示していますが、
どのガイドラインを見てもおおよそ純アルコール量20g/日程度が適量とされています。
純アルコール20gを普段飲んでいるお酒に置き換えるとだいたいこのくらいの量が適量になります。
飲みすぎてしまうとなぜいけないのか?
大量飲酒が体に与える悪影響についてご紹介します。
アルコールが心臓や血液循環に与える影響
大量に飲酒すると体の中の水分量が増えます。
アルコールの席での食事はしょっぱいものが多く塩分取り過ぎてしまうことで余計に体内の水分が増えます。
しばらくするとアルコールの利尿効果で尿量が増え、脱水になります。
血圧は飲酒直後は血管が広がり血圧が下がります。
その後アルコールが抜けていく過程で時間がたつと血管が反動で収縮し血圧は上がります。
心拍数はというとアルコールの影響で交感神経が活発となり、脈が速くなります。
心臓は血液を全身に循環させるポンプの働きをしています。
そのため大量の飲酒による短時間で体内の血液量、血圧、心拍数の変動で
心臓の仕事量が増えて負担となります。
日ごろから血圧の変動が大きい方や、不整脈、狭心症、心不全など心臓に病気のある方がお酒を飲みすぎてしまうと、持病が悪化してしまう可能性がありますので注意が必要です。
大量飲酒で悪くなる採血項目
アルコールと尿酸値
アルコールと採血と言えば有名なのは尿酸値です。
アルコールに含まれるプリン体を体内で分解するときにできるのが尿酸。
この尿酸が増えると関節などに尿酸の結晶がたまり痛風発作を引き起こします。
過去に痛風発作を起こした人が、再び痛風発作を起こさないようにするためには尿酸値を6.0mg/dl以下にコントロールする必要があります。
アルコールと中性脂肪
アルコールは肝臓で代謝されます。
この代謝に伴って中性脂肪の合成が進みます。
そのため大量飲酒が習慣になっていると体内で中性脂肪がどんどんつくられ皮下脂肪や肝臓、血管などにたまっていきます。
アルコールにプラスしておつまみとして食べるものも揚げ物など脂っこいものや炭水化物が多いと
さらに中性脂肪が増えます。
アルコールと血糖値
大量の飲酒はすい臓からのインスリン分泌を抑制します。
またおつまみなど食事量が増えることで血糖が急上昇します。
普段肝臓は血糖が低いとき蓄えてあった糖を血液中に送り出すという仕事を担っています。
しかし大量飲酒によりアルコールを処理するという肝臓の仕事が増えるため低血糖になったときに
糖を血液中に送り出すことができず低血糖を引き起こすこともあります。
このように大量の飲酒は血糖値を乱高下させる原因になります。
アルコールと肝機能
尿酸と肩を並べて有名なのがγ-GTPです。
アルコールにより肝臓の細胞がダメージを受けることで上昇します。
同じく肝臓の機能を示す項目でALT、ASTがあります。
これらも大量の飲酒で肝臓の機能が低下すると上昇します。
睡眠薬代わりの飲酒は睡眠の質が悪くなる
「睡眠薬を飲むくらいならお酒の方が体に害がなさそう」と眠れないからお酒を飲んでいる方は要注意です。
お酒を飲むと寝つきは良くなりますが、眠りが浅くなり夜中に目が覚める回数が増えたり、
朝早くに目が覚めてそこから寝付けなったりします。
改めて思い返してみると心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
睡眠薬代わりに飲むお酒を続けていると、どんどんお酒の量が増えてしまいます。
アルコール中毒にならないためにも、お酒の力で入眠するのは避けましょう。
禁酒が必要な病気
適量なら良いとされるアルコールですが禁酒が必要な病気もあります。
- アルコール性肝障害
- 膵炎
- アルコール性心筋症
- アルコール依存症
飲酒が習慣になっている方からすれば禁酒は簡単ではありません。
節酒・禁酒をするための工夫についてご紹介します。
アルコールの適量を知る
冒頭で紹介したアルコールの適量の一例以外のお酒を飲んでいるために、純アルコール量がわらない、
いろいろな種類のお酒を飲むためトータルの純アルコール量がわからないなど
自分がどのくらいのアルコールを飲んでいるか知らないと適量に摂取することは難しいです。
毎回のだいたいどのくらい飲んでいるかこちらの式で計算し、まずは普段飲んでいるアルコール量を把握しましょう。例えばアルコール度数5%のビールを500ml飲むと、500(ml)×0.05×0.8=20gとなります。
お酒の量を減らす工夫
- ノンアルコール飲料や炭酸水を活用する
- ゆっくり飲む
- 飲酒の量を記録する
- あらかじめ飲む量を決めておく
- 家族や友人、SNSなどで節酒を宣言する
- 節酒が習慣になるまでは飲み会は避ける
- アルコール度数の少ない商品を選ぶ
休肝日は週2日が目標!
休肝日を作ろうと思っていても、飲酒が習慣となっていると崩し的に「今日も飲んじゃったなあ」という日が続いてしまいます。
休肝日を作るための工夫
- あらかじめ休肝日を決めておく
- 家族や友人に休肝日を伝え協力を得る
- 休肝日をカレンダーや手帳などに記録する