ブログBlog

ニトログリセリンの正しい使い方

ハートナースの簡単レッスン

心臓発作の薬:ニトログリセリン

ニトログリセリンは胸が痛い、重苦しいなど狭心症の発作のときや、心不全が急に悪化して呼吸が苦しくなったときなど、いわゆる「心臓発作」を起こしたときに使用される薬です。

ニトログリセリンは心臓の筋肉(心筋)に栄養を運ぶ血管(冠動脈)を拡げる働きと、全身の静脈などの血管を拡げる働きがあり、これらの心臓発作による症状を改善させます。

そのうち、狭心症の発作は冠動脈が狭くなることで必要量の酸素が心筋に届けられず、心筋が酸欠状態になって起こるため、このニトログリセリンが冠動脈を拡張し血流が改善するため効果を発揮します。

心臓発作はいつ起こるかわかりません。

そのため外出の際はニトログリセリンを必ず持ち歩きましょう。家の中でも寝室の枕元やリビングの引き出しなど、すぐに手の届くところへ分けて置いておくといいと思います。

ニトログリセリンの正しい使い方

ニトログリセリンは舌下錠と呼ばれ、舌の下に置いてラムネのように溶かすことで吸収されるお薬です。

通常飲み込んで内服する薬の多くは吸収され薬効が合わられるまでに30分程度かかります。

ニトログリセリンは舌の下の血管から吸収されるため、使用後2~3分程度で効果が現れます

5分経っても心臓発作が収まらない場合は、追加でもう1錠使用しましょう。

1度の発作に使用してよいニトログリセリンの回数は、錠剤であれば3回、スプレータイプのものであれが2回が通常ですが、必ず処方された医療機関や担当の医師に使用してよい回数が確認しましょう。

決められた回数を使用しても心臓発作の症状が続くときはすぐに医療機関を受診しましょう。

ニトログリセリンの副作用

全身の血管が拡がるため、血圧が低下する副作用があります。

ですが薬の効果が現れている時間は30分程度ですので、しばらく休んでいると副作用も消失します。

血圧低下によるふらつきや転倒を予防するために、使用するときはからなず座って舌下します。

座って使用してもふらふらする場合は、足を高くして横になりましょう。

全身の血管が拡がることでズキン、ズキンと拍動性の頭痛を感じたり、集中力、注意力、反射運動の低下が起きる方もいます。

安全のためにニトログリセリン使用後には車の運転を控え、しばらくは安静に過ごしましょう。

ニトログリセリンを使うか迷ったとき

「血管が拡がる」「心臓発作の薬」なんて少し使うのが怖いと感じる方も多く、

「この症状は心臓発作の症状??」と症状に迷うときはどうしようと思っている間に症状がなくなり、

ニトログリセリンを使わなかった…という方が多くおられます。

迷ったら使いましょう。

副作用のことを考えると、今感じている症状が心臓発作ではなかったときにニトログリセリンを使ってしまった大変なことが起こるのでは…と不安になる気持ちはよくわかります。

ですがニトログリセリンの効果は体内に蓄積されるものではなく、体に悪影響を与えるような薬ではないため万が一誤って使用しても大変なことにはなりません。そして30分程度で影響は消失します。

むしろ、心臓発作が起きているのにニトログリセリンを使わず我慢してしまうほうが体にとって悪影響を与えかねません。

心筋が一時的に酸欠になってから症状が起きるまではタイムラグがあることや、小さな発作、軽めの症状であってもその後立て続けに発作が起きたり、そのあと大きな発作が起こることもあります。

そのため軽い症状であっても、症状が出ていることが問題ですので迷ったらニトログリセリンを使用しましょう。

スプレータイプのニトログリセリン

スプレータイプのニトログリセリンもあります。

錠剤に比べて1本でたくさん使えるのが良いところですが、保管に注意が必要です。

液体のため、カバンなどに入れっぱなしで逆さまにしてしまうと薬液が出てこないことがあります。

持ち歩いている場合などボトルが横になったり逆さまになっていたときは使用前に数回プッシュして薬液がしっかり噴霧されることを確認してから使用しましょう。

舌下錠と同じく舌の下に噴霧して使用しますが、薬液がしっかりと出てきたか不安となり2-3回プッシュしてしまうと血圧が低下する副作用が強く出るため、使用するときは必ず1プッシュにしましょう。

新しい記事はありません